喘息ってとにかく辛いですよね。
筆者も子どものころ、季節の変わり目や風邪の後に喘息が出て辛い経験をしました。
そんな私が、ジョギングで体質改善を行った結果、喘息を克服しました。
この記事では、筆者が喘息を克服した方法について、登録販売者の資格取得の際に勉強した「喘息の基礎知識」も踏まえ詳しく解説します。
筆者が喘息を克服したその全容
19歳まで治らなかった喘息をたった1年間で克服しました。
これから「筆者がどのようにして喘息を克服したのか?」その全容についてお話します。
筆者が行ったこと
私が喘息を克服するために行った、たった一つの事。
それは『肺を鍛える』ことです。
えっ、なにそれ?デタラメを言ってるでしょう!!
その気持ちも分かります。
ですが、根本治療には、自分の肺を鍛えることが良いんですよ。
『肺を鍛える』ためにしたことは、有酸素運動です。
肺を鍛えるのに効果的なものの1つが、有酸素運動です。
有酸素運動を行えば、肺が酸素を利用する効率が上がります。
よって私は「少ない酸素量でも辛くならない身体を作ることで、喘息を軽減させる」ことを狙いました。
有酸素運動であれば、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、何でも構いません。
私は、ジョギングで肺を鍛えました。
有酸素運動を行う際の注意点
重要なことをお話します。
有酸素運動で肺を鍛える際に、注意しなければいけないことが2点あります。
- 発作中は、絶対に運動しない
- 運動中に発作が出たら直ちに中断する(翌日以降に様子を見て、問題なければ再開する)
発作時の運動は、逆効果です。
発作がでた場合は、運動を控えましょう。
筆者の喘息克服エピソード
私は、物心がついてから19歳まで、季節の変わり目と風邪の後に、必ず喘息の発作が出ていました。
喘息の発作は、夜に出ることが多いと言われています。
私も夜に発作が出ていました。
咳が酷く、また、ゼーゼーと音がなる喘鳴によって、熟睡することが出来ず苦しい思いをしていました。
発作が出て苦しい時に、私が行っていたことが3つあります。
- 直ぐに薬を飲む
- 呼吸をゆっくり長く行う(腹式呼吸)
- ソファーに座って寝る(喘息は、座るほうが楽になります)
これらの方法で、少し楽になりました。
しかし、熟睡は出来なかったため、苦しい思いは変わらなかったです。
18歳になり、春から夏にかけての季節の変わり目で、喘息の発作が出ませんでした。
「もう治ったかな?」と思いました。
しかし、秋から冬にかけての季節の変わり目で、喘息の発作が出ました。
その時に「もう嫌だ!成人するまでに必ず治すぞ!!」と、心に決めました。
『この辛さを克服し、毎日を平穏に過ごしたい。』
この思いが、喘息克服への原動力になりました。
喘息を克服するために始めたのが、ジョギングでした。
ジョギングを始めて数日、ある疑問が湧きました。
何となく走ってるだけで、本当に喘息を克服できるのだろうか?
この疑問の答えは、喘息の発作時に行っていることにありました。
そういえば、呼吸を楽にするために、腹式呼吸をしていたな!
このことを思い出し、ジョギングをする際に腹式呼吸をすることにしました。
腹式呼吸でジョギングを初めてから、他にも気になる箇所が見つかりました。
それは、走る時の「姿勢」です。
姿勢を正すことで、空気の出入りが良くなりました。
これにより、腹式呼吸が楽になりました。
私は、ジョギングで肺を鍛えるために、以下の2点に注意しました。
- 呼吸
- 姿勢
ジョギングで腹式呼吸をするために、姿勢を正しました。
その結果、肺が鍛えられ、喘息に負けない身体になりました。
喘息を克服するまでの流れ
喘息を克服するまでの流れを以下にまとめます。
- 運動(ジョギング)開始
- 肺を鍛える
- 体質改善
- 喘息克服(3とほぼ同時)
私は、このようにして喘息を克服しました。
喘息を知ろう
喘息を治す取り組みをする前に、事前知識として「喘息の基礎知識」について解説します。
この知識の基は、筆者が登録販売者の資格取得を目指す際に興味本位で読んだ本[1]です。
喘息の発作は気道で発生する
喘息は、気道で発生します。
気道とは、呼吸した空気が通る道のことです。
気道は、鼻、口から肺までを指します。
医学用語では、以下の通りです。
気道の中でも、喘息に最も関わりがあるのが気管支です。
気管支は、気管が左右に分岐している箇所から肺の奥までを指します。
気管支の構成は、内側から順に以下の通りです。
- 気道
- 上皮細胞
- 気道粘膜
- 平滑筋(筋肉)
ホースに例えると「水が通る空洞部分が気道、素材が上皮細胞、気道粘膜、平滑筋の3つの要素で成り立っている」と言えます。
喘息は気道の炎症
喘息を一言で説明すると、気道の炎症です。
気道の炎症とは、平滑筋が縮み、気道粘膜がむくんだ状態です。
気道が炎症するまでの流れを以下にまとめます。
菌やほこりなどの異物により、上皮細胞の表面がはがれます。
異物が気道粘膜の中に入ります。
異物に反応し、気道粘膜がむくみます。(喘鳴の要因)
異物に反応し、平滑筋が縮みます。(喘鳴の要因)
平滑筋はポンプと同じ役割で、空気を押し出すために縮みます。
異物を出すために、痰などの粘液を分泌します。
異物を出すために、咳がでます。
喘息を持っている方の気道は、発作がないときでも炎症が起きています。
気管支の炎症が悪化すると、気道粘膜にむくみが生じます。
気道粘膜がむくむと、平滑筋を縮め、痰や咳が出ます。
痰や咳により、平滑筋がさらに縮みます。
平滑筋がさらに縮むことで、気道がもっと狭くなります。
気道がもっと狭くなることで、空気が殆ど通らなくなります。
この悪循環が、喘鳴や息苦しさに繋がります。
発作が起こる要因とその予防策
喘息の要因(タブ名)と、喘息の予防策(説明書き)を以下にまとめます。
なお、予防策は「今すぐできるもの」を記載しています。
- うがい
- 手洗い
嫌な思いをしないよう、自身の喘息の要因と、その予防策をチェックすることをお勧めします。
喘息の重症度分布
参考本「喘息予防・管理ガイドライン2018」には、重症度の目安として「重症度分布」が掲載されています。
重症度 | 軽症間欠型 | 軽症持続型 | 中等症持続型 | 重症持続型 | |
喘息症状の特徴 | 頻度 | 週1回未満 | 週1回以上だが毎日ではない | 毎日 | 毎日 |
強度 | 症状は軽度で短い | 月1回以上 日常生活や睡眠が妨げられる | 週1回以上 日常生活や睡眠が妨げられる | 日常生活に制限 | |
ー | ー | しばしば増悪 | しばしば増悪 | ||
夜間症状 | 月に2回未満 | 月に2回以上 | 週1回以上 | しばしば | |
FEV1(注2) | PEF(注1)%PEF | %FEV1、80%以上 | 80%以上 | 60%以上 80%未満 | 60%未満 |
変動 | 20%未満 | 20~30% | 30%を越える | 30%を超える |
(注1) ピークフローメーターを使って測定したピークフロー値のこと。 %PEF = (PEF測定値/PEF予測値または自己最良値) × 100
(注2) 病院で行われる呼吸機能検査で測定できる「1秒量」という値のこと。 息を思い切り吐き出したとき、最初の1秒間に吐き出される息の量です。 %FEV1 = (FEV1測定値/FEV1予測値) × 100
重症度の「〇〇型」は、喘息症状の特徴、PEF、FEV1のどれかひとつでも該当すれば、その重症度となります。
重症度は、自身の体調により変動します。
よって、定期的なチェックが必要です。
また、PEFやFEV1は、機器がないと測定できません。
今すぐ確認したい場合は、喘息症状の特徴のみでチェックすると良いでしょう。
なお、PEFの測定器「ピークフローメーター」は、Amazonや楽天などのネット通販でも購入可能です。
喘息の根本治療
喘息は気道の炎症の悪循環に陥りやすいため、なかなか治りにくい病気です。
「この悪循環を断ち切るために、薬を使用し炎症を抑える。」
これが現在の一般的な喘息の治療法です。
しかし、薬はあくまで炎症を抑えるだけで、根本治療ではありません。
「身体を気道の炎症が悪化しにくい体質に改善する。」
この体質改善こそ、根本治療となります。
「喘息に負けない身体作り」に向けての事前準備
筆者が実践し、改良を加えた「喘息に負けない身体作り」の方法では、以下の2つを実施します。
- 座って実施する呼吸法(腹式呼吸または丹田呼吸法)
- 腹式呼吸を取り入れたジョギング
上記2つの実施には、事前準備が必要です。
その事前準備について解説します。
重症度分布によるセルフチェック
まず、重症度分布で自身がどの型かをチェックします。
重症度により、実施の可否が判断できます。
判断基準を以下にまとめます。
【実施可否】
【説明】
「喘息に負けない身体作り」をすぐに始められます。
「喘息に負けない身体作り」では、自身の身体に少し負荷をかけます。
そのため、実施可否は必ず守ってください。
喘息に負けない身体作り – 呼吸法 –
ここからは、座って実施する呼吸法について解説します。
この呼吸法が「喘息に負けない身体作り」のカギとなります。
紹介する呼吸法は以下の2つです。
- 腹式呼吸
- 丹田呼吸法
腹式呼吸
腹式呼吸について解説します。
身体の動き
腹式呼吸とは、デジタル大辞泉で以下の通りに記載されています。
腹筋や横隔膜の運動によって行う呼吸形式。横隔膜呼吸。腹呼吸。→胸式呼吸
デジタル大辞泉より
横隔膜の運動は、以下の通りに呼吸することで行われます。
- 息を吸う際、腹部を膨らませる
- 息を吐く際、腹部を凹ませる
肋骨に意識を向けることで、横隔膜の動きがより理解しやすくなります。
肋骨、横隔膜、腹部の動きの関係を以下にまとめます。
- 息を吸う
-
肋骨 横隔膜 腹部 広がる 下がる 膨らむ - 息を吐く
-
肋骨 横隔膜 腹部 狭まる 上る 凹む
この身体の動きが、腹式呼吸の基本です。
呼吸の仕方
呼吸の仕方は、2通りあります。
- 鼻で吸って、口で吐く
- 鼻のみで呼吸をする
息のコントロールがしやすいため、1で腹式呼吸をすることをお勧めします。
呼吸の仕方の詳細を解説します[2][3]。
あぐらをかいて身体の力を抜きます。
鼻で呼吸をし、呼吸を整えます。
鼻から3秒間かけてゆっくり息を吸います。
口から(鼻のみの呼吸の場合は鼻から)15秒間かけてゆっくり息を吐きます。
STEP3とSTEP4の呼吸を繰り返します。
※「最初は2回、慣れたら回数を増やす。」のように無理しないペースで行うことをお勧めします。
ポイントは「おへその辺りに意識を向け、腹部の中にある風船が膨らんだり縮んだりする様子を思い描くこと」です。
STEP4で吐く際、口をすぼめると吐く強さをコントロールしやすくなります。
呼吸が辛くなったらSTEP2に戻り、呼吸を整えてください。
ただし、頭がふらついたり、肺が痛くなった場合は、直ぐに中断してください。
世の中には、数多くの腹式呼吸の仕方が存在します。
ですので、ここで解説した以外のやり方で腹式呼吸を行っても全く問題ありません。
コラム「鼻で息を吸う理由」
鼻で息を吸うのはどうしてなの?
鼻で息を吸う理由は、綺麗な空気を身体に送り込むことができるからです。
鼻にはフィルターの役割をしてくれる毛(いわゆる鼻毛)があります。
この毛が、外気の汚れから身体を守ってくれます。
このことは、喘息の発作が起こりにくい環境を作ることにもつながります。
鼻で息を吸うことは、喘息に負けない身体を得ることの第一歩です。
今すぐ鼻で息を吸いましょう!
丹田呼吸法
丹田呼吸法とは、腹部の丹田を意識して呼吸する方法です。
丹田の位置
腹部の丹田は、へその4~5cm下の箇所にあります。
筆者は丹田を理解する際、4足歩行の動物が走っている姿をイメージしました。
チーターが走っている姿を想像してください。
溜めて体が縮んでいる時の腹部が一番凹でいる部分と背中が膨らんでいる部分の下を一直線に結びます。
線を結んだその中心が丹田です。
人間も場合も同様で、チーターなどの4足歩行の動物と同じ位置に丹田があります。
丹田呼吸法の種類
丹田呼吸法には、以下2通りの方法があります。
- 腹部を膨らませたり収縮させたりして呼吸する方法
- 腹部を収縮させたまま呼吸する方法[4]
どちらを使っても効果はあるため、試してみて楽な方法を選ぶと良いでしょう。
丹田呼吸法の仕方 – 腹部を膨らませたり収縮させたりして呼吸する方法 –
腹部を膨らませたり収縮させたりして呼吸する方法は、腹式呼吸と似ています。
手順は、以下の通りです。
あぐらをかいて身体の力を抜きます。
鼻で自然に呼吸し、心を落ち着かせます。
鼻からゆっくり息を吸い、腹部を膨らませる。
息をゆっくり吐き、腹部を収縮させます。
この際、丹田に意識を向け、丹田を腰側へ引っ込ませます。
STEP3とSTEP4の呼吸を繰り返します。
ポイントは「丹田に意識を集中させる」ことです。
丹田呼吸法の仕方 – 腹部を収縮させたまま呼吸する方法 –
腹部を収縮させたまま呼吸する方法の手順は、以下の通りです。
あぐらをかいて身体の力を抜きます。
鼻で自然に呼吸し、心を落ち着かせます。
丹田を収縮させたたまま、鼻からゆっくり息を吸い、胸を膨らませる。
丹田を収縮させたまま、ゆっくり息を吐き、膨らませた胸を元に戻します。
STEP3とSTEP4の呼吸を繰り返します。
ポイントは「胸の中の空気の流れがハートになるようなイメージ」を持ち呼吸をすることです。
コラム「丹田呼吸法の仕方はどちらが正しい?」
丹田呼吸法は、元々、腹部を収縮させたまま呼吸する方法が正しかったそうです。
しかし、西洋医学が日本に入ってきた際、呼吸法も腹式呼吸が主流になりました。
丹田呼吸法の師範たちは「丹田呼吸法を絶やさないためには、どうすれば良いのか?」と模索し始めました。
その結果、皆が理解しやすい、腹部を膨らませたり収縮させたりして呼吸する方法を指導するようになったそうです。
現在でも、腹部を膨らませたり収縮させたりして呼吸する方法が主流のようです。
喘息に負けない身体作り – ジョギングの方法 –
喘息に負けない身体作りのために、筆者が実践したジョギング法を解説します。
筆者が実践したジョギング法
私が実践した呼吸法は、ジョギングを行いながらの腹式呼吸(以下、ジョギング呼吸法)です。
ジョギング呼吸法は、一般の腹式呼吸にアレンジを加えています。
アレンジ部分も踏まえ、ジョギング呼吸法について解説します。
ジョギング呼吸法の手順
ジョギング呼吸法の手順は、以下の通りです。
足の着地タイミングに合わせ、頭の中で「1、2」とカウントしながら、鼻から息を吸い、腹部を膨らませます。
足の着地タイミングに合わせ、頭の中で「3、4」とカウントしながら、口から息を吐き、腹部を収縮させます。
STEP1とSTEP2を繰り返します。
ジョギング呼吸法のポイントは、次の2点です。
- カウントに合わせて呼吸をする
- 一定のテンポで呼吸をする
カウントに合わせることで、ジョギング中でもゆっくり長い呼吸を行うことが可能です。
また、一定のテンポで呼吸することで、ゆっくり長い呼吸が持続できます。
ジョギング呼吸法のテンポ目安
ジョギング呼吸法のテンポは、120~140bpmです。
bpmとは、1分間のカウント数のことを指します。
120bpmの速さは、行進する時の速さと同じです。
120bpmのテンポで腹式呼吸をしながら行うジョギングは、慣れるまで辛く感じます。
もし120bpmでも辛く感じる場合は、110bpmや100bpmなど遅いテンポで行っても構いません。
また、ジョギングの途中で息苦しいと感じた場合は、以下のように行ってください。
- 普段行っている呼吸に戻す(この際、歩くのも可)
- 呼吸が整ってから、再度ジョギング呼吸法を実施
テンポの感覚が分からない場合は、メトロノームを利用すると良いでしょう。
アプリの代表例を1つ紹介します。
ジョギング呼吸法のサイクル
ジョギング呼吸法の手順は、以下の通りでした。
『ジョギング中の足の着地タイミングに合わせ、頭の中でカウントしながら、腹式呼吸をする。』
上記内容を図で表すと、下図のようになります。
この1サイクルをジョギング中にずっと繰り返します。
サイクルの流れは、下表の通りです。
1サイクルの中で、吸う、吐くを1回ずつ行っています。
この方法が、ジョギング呼吸法です。
コラム「ジョギング呼吸法の応用編」
通常のジョギング呼吸法に慣れたら、挑戦して頂きたい呼吸サイクルがあります。
この方法は、市民マラソン(フルマラソン)に挑戦したいという方のトレーニングにお勧めです。
お勧めの理由は、ジョギング中に長い呼吸をすることで、身体に負荷をかけられるからです。
ぜひ挑戦してみてください。
ジョギング呼吸法で意識すること
ジョギング呼吸法で以下のことを意識すると、より効果が上がります。
- 全身に空気が行き渡るようなイメージ
上記イメージを持つことで、長い呼吸をしようとする意識が芽生えます。
ジョギング呼吸法は、ジョギング時に腹式呼吸をすることで無理なく身体(特に肺)を鍛える方法です。
慣れるまでは辛いと思います。
ですが、できるだけ長い呼吸ができるよう、上記イメージを持ちながら取り組んで頂きたいです。
ジョギング呼吸法の注意点
ジョギング呼吸法は、身体に少し負荷をかけます。
よって、喘息の重症度が以下の方は、実施を控えてください。
- 中等症持続型
- 重症持続型
上記の方は、掛かり付けのお医者さんに相談したのち「座ってできる呼吸法」から始めてください。
姿勢のポイント
ジョギング時の正しい姿勢を「頭 ⇒ 足」の流れで解説します。
No | 正しい姿勢 | ポイント |
1 | 視線は真っすぐ | 60m~80m先を見る |
2 | あごは真っすぐ | 少し上でも可 |
3 | 上半身はリラックスさせる | – |
4 | ひじは60~90度に軽く曲げる | 意識せずリラックスして曲げる |
5 | 背筋と腰を伸ばす | – |
6 | 斜めにジャンプするように地面を蹴る | – |
7 | 着地はフォアフット(つま先のやや後ろ) で行う | ○:平行に着地するイメージ ×:つま先立ちのイメージ |
8 | 足の裏全体が地面に接触している時、 頭から足を一直線にする | 足だけが前にでないよう注意する |
補足解説:No5「背筋と腰を伸ばす」
背筋と腰が伸びている状態を解説します。
以下の2点を実施してください。
- 全身をリラックスさせ、その場で軽くジャンプ
- 着地の瞬間、背筋と腰の位置を全身鏡などで確認
この着地の瞬間の背筋と腰が、伸びている状態です。
この確認方法は、日常生活における姿勢の確認にも利用できます。
一度試すことをお勧めします。
補足解説:No6「斜めにジャンプするように地面を蹴る」
斜めにジャンプするように地面を蹴る理由は、着地の際の腰、膝に負担をかけないためです。
ジョギング時の衝撃は、全身を支えている腰から下に集中します。
よって、できるだけ衝撃を減らすために、この方法で走ります。
補足解説:No7「着地はフォアフット(つま先のやや後ろ)で行う」
フォアフットで着地する理由は、踵の負担を減らすためです。
「フォアフット」は、下図のまるで囲った部分です。
フォアフットの着地を行った場合、足が片方に傾く(ひねる状態)リスクも減らせます。
よって、膝や足首を痛めにくくなります。
姿勢が崩れると、怪我のリスクが上がります。
ジョギング時の正しい姿勢を身に着けるために、まずはウォーキングで確認することをお勧めします。
なお、ウォーキングでは、No8「足の裏全体が地面に接触している時、頭から足を一直線にする」が実施できません。
よって、ウォーキングではポイントのイメージだけを行ってください。
走法
走法を意識するとジョギングが更に楽になります。
走法は、2つあります。
- ピッチ走法
- ストライド走法
無理せず体質改善を行うためには、ピッチ走法を取り入れると良いです。
ピッチ走法が良い理由は、体への負荷が少ないからです。
では、ピッチ走法、ストライド走法について説明します。
ピッチ走法
ピッチ走法とは「歩幅をせまくし、足の運びを速くする走法」のことです。
歩幅が狭い分、筋力の負担がスライド走法よりも軽減されます。
よって、ジョギング呼吸法では、ピッチ走法でジョギングを行ってください。
どれくらいの速さで走れば良いですか?
一般の人がジョギングをした際、15秒で40~42歩(160~168bpm)と言われています。
ジョギング呼吸法では、15秒で30~35歩(120~140bpm)のペース行うと良いですよ。
コラム「ピッチ走法と音楽の関係性」
ピッチ走法は、音楽の「テンポ」の考え方と似ています。
楽曲のスピードを速くするために、テンポのカウントを上げます。
ピッチ走法も同様です。
スピードを上げるに、足の運びの回転数(カウント)を上げます。
音楽が好きな方は、ピッチ走法の際にテンポをイメージすると、走ることが楽しくなりますよ!
ストライド走法
ストライド走法とは歩幅を大きくとる走法で、筋力とスタミナが要求されます。
スピードは出ますが、体への負荷が大きく、怪我をするリスクが上がります。
よって、ジョギング呼吸法には、スライド走法を取り入れません。
走る速さの目安
ジョギング呼吸法での走る速さの目安は、以下の通りです。
年齢(歳) | 学年 | 距離(km) | 完走時間(分) | 注意 |
3~9 | 幼児~小学3年生 | – | – | かかりつけの お医者さんと要相談 |
9~10 | 小学4年生 | 1 | 10 | – |
10~12 | 小学5~6年生 | 2 | 20 | – |
12~ | 中学生~ | 3 | 30 | – |
『3kmを30分で完走』とは、時速6kmで完走することです。
人の歩行速度の平均は、時速4.8kmと言われています。
つまり、普段より少し速く歩いた時の速さが時速6kmです。
こう言われると「『3kmを30分で完走』ってのは、案外簡単だな」と感じますよね。
コラム「市民マラソン、実はチャレンジしやすい!?」
一般市民が参加できる市民マラソンの大会は『42.195kmを7時間で完走できる方』という設定が多いです。
いやいや、無理でしょう~
実は「3kmを30分で完走」ができれば、市民マラソンの大会設定に届くところまで行けますよ。
(正確には、3.1kmを30分で完走する必要があります。)
「普段より少し速く歩いた時の速さ」と考えたら『42.195kmを7時間で完走』も可能な気がしませんか?
市民マラソンの出場を勧めている??
ごめんなさい。そうではないです。
「『3kmを30分で完走』ができれば、市民マラソンにも挑戦できる!
このように考えると、ジョギングが楽しくなるよね。」と言いたいだけです。
自身のモチベーションを上げるためにも、この「3kmを30分で完走」を目安にすると良いでしょう。
喘息に負けない身体作り – スケジュールを立て実践しよう –
ジョギング呼吸法をどのように実践すればいいのか、具体例を入れながら解説します。
実践する時期
喘息は、季節の変わり目に出やすいです。
特に秋から冬にかけては、朝夕の気温差が激しく空気が乾燥しているため、気管支が炎症します。
筆者も秋から冬にかけてが一番酷かったため、ジョギング呼吸法を春先から秋前にかけて集中的に行いました。
その結果、真夏の頃には、体質が変わったのを実感していました。
喘息は人によって症状の出る季節が異なります。
また、季節に関係なく症状が出る方もいます。
そこで、屋内でのジョギングがお勧めです。
屋内のジョギングは、炎症の原因となる温度変化、乾燥、汚染された空気などを気にせず実践できます。
トレーニングジムなど、屋内にランニングマシンがある環境で、ジョギング呼吸法を行うと良いでしょう。
休むことの大切さ
身体を休ませることは、重要です。
身体に疲労が蓄積されると、回復に時間がかかります。
回復せずにジョギングを行うと喘息の悪化や怪我に繋がります。
このジョギング呼吸法は、負荷をかけ過ぎないようにと考え解説しています。
しかし、喘息の持病を持っている場合、ジョギング呼吸法でも身体に負担が大きい場合があります。
そこで、スケジュールに休息を入れます。
私の場合、2日ジョギング、1日休息を繰り返しました。
体質を改善するためのジョギングです。
身体の体調が優れない場合は、無理をせず休みましょう。
スケジュールを立てる
では、実際にスケジュールを考えてみましょう。
これから、スケジュールの一例を挙げます。
筆者が考案するスケジュールは、普段全く運動していない方向けに作成しています。
既にジョギングで1km完走できるという方は、考案するスケジュールの31日目から行っても構いません。
考案するスケジュール概要は、以下の通りです。
- 目標
-
自身の体質を変えて喘息に負けない身体を得る。
- 日程
-
6ヶ月間の実施。2日ジョギング、1日休息。
日程の詳細は、次のステップ1、ステップ2に記載します。
ステップ1 – 0~3ヵ月(1~90日目) –
経過日数 | 実施内容 | 目標・狙い |
1~15日目 | 1kmウォーキング | ジョギング呼吸法や姿勢、走法を固めます。 |
16~30日目 | 1kmウォーキング&ジョギング | |
31~60日目 | 1kmジョギング | ジョギング1km完走を目指します。 |
61~90日目 | 2kmウォーキング&ジョギング | ジョギングの距離を2kmに伸ばします。 |
『ウォーキング&ジョギング』とは、「途中歩いても良い」という意味です。
身体に負荷をかけるのは、少しずつで構いません。
無理をせず続けることが重要です。
ステップ2 – 3~6ヵ月(91~180日目) –
経過日数 | 実施内容 | 目標・狙い |
91~120日目 | 2kmジョギング | ジョギング2km完走を目指します。 |
121~150日目 | 3kmウォーキング&ジョギング | ジョギングの距離を3kmに伸ばします。 |
151~180日目 | 3kmジョギング | ジョギング3km完走を目指します。 |
最終目標は、『3kmを30分で完走』です。
なお、小学生以下の子どもが実施する場合は、それぞれの学年に合わせて、距離を調整する必要があります。
身近にいる大人の方が、スケジュールを作成しましょう。
まとめ
まとめ
筆者は、自身が提唱するジョギング呼吸法により体質改善をし、喘息を克服しました。
ジョギング呼吸法は、ジョギング時に腹式呼吸をするというものです。
身体に負荷をかけるため、喘息の重症度が「中等症持続型」または「重症持続型」の方は、実施を控えてください。
身体に負荷をかけるのは、少しずつで構いません。
無理をせず続けることが重要です。
おわりに
体質を改善して喘息に負けない身体づくりをすることは、正直に言うと、難しいです。
筆者のジョギング呼吸法では、体質が改善しなかった。
そういう方も出ると思います。
なぜなら『体質が変化するまでには、最低でも3ヵ月かかる』からです。
つまり、6ヵ月、1年、あるいは、数年かけてやっと体質は改善されるのです。
体質改善って、無謀じゃん!!
そうかもしれません。
しかし、体質改善が喘息に負けない身体づくりの秘訣といえます。
体質改善の一番の近道は「継続」です。
世の中のあらゆる体質改善法も、結局は「継続」しないと結果が出ません。
体質改善法を実施していると「どうしても辛い」と感じることがあります。
それは、体質改善が決して楽ではないからです。
だからこそ『無理はしない』。
『無理はしない』ことが、体質改善を成功させるカギとなります。
最後に、体質改善を成功させるとっておきの魔法の言葉があります。
『できるしこ』
これは、私の故郷、熊本の方言です。
意味は「できるだけ」です。
辛い時は、この魔法の言葉を唱えてください。
気持ちが楽になりますよ!
[1] 喘息予防・管理ガイドライン2018
監修:一般社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会
作成:「喘息予防・管理ガイドライン2018」作成委員
[2] 呼吸入門 心身を整える日本伝統の知恵
著者:斎藤 孝
[3] 人生を変える 呼吸法
著者:宮崎 裕樹
[4] へそ下丹田考 医と健康美の源泉をさぐる!
著者:櫻井 寛
[5] ランニングする前に読む本
著者:田中 宏暁
あとがき
この「喘息に負けない身体作り」を執筆するにあたり、
2018年4月23日にお亡くなりになった 元福岡大学名誉教授 田中 宏暁先生
の本を参考にさせていただきました。
今までのジョギングの姿勢や走法は、
全て独学で行っていました。
独学の方法を教えることは難しいと思い、
勉強している際に、田中先生の本に出会いました。
田中先生のスロージョギングの方法は、
私が独学で行っていたジョギングの方法と
同様のものでした。
私が10年間、試行錯誤したジョギングの姿勢や走法が、
田中先生のスロージョギングのものと同様であることに
驚きを感じました。
それと同時に「私自身の努力が間違っていなかった」と
確認することができ、とても感謝しています。
もし、存命であったならば、一度お話を聞きたかったです。
田中先生のスロージョギングは、
健康な体を作るためにとても良い方法です。
今後も、田中先生のスロージョギングについて
学び続けたいと思います。
のりくん
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